Temnotok 構造解説← プリセット一覧

012. OP Sin-Imp がこの音の芯。鍵を押してから 90 ms かけて立ち上がり、押さえていても自然に減衰する。ピークから消えるまで 1.29 秒。7回測るとピークが 10.5 dB 振れ、毎回わずかに違う輪郭になった。付属プリセット782音との比較では、クリーンさが上位 8.1%、空間の広がりが上位 10.0%。

フレーズ16秒・118音の演奏0:00/–:––
マクロ操作演奏しながら M5 Cutoff を 0→100%0:00/–:––
単音A4 を1音・下の図を測った音0:00/–:––

波形はこの音そのものから描いています。クリックでその位置へ。音量は5音で揃えてあります(MP3 192kbps・プリセット本体は非圧縮)。

音源だけフィルタも FX も切った状態0:00/–:––
+フィルタFX はまだ切ってある0:00/–:––
完成そのまま0:00/–:––

同じ演奏を、段を1つずつ足しながら鳴らしています。音量は3本とも揃えてあります

音の時間変化
実測エンベロープ(7回のレンダ・中央値と最小〜最大の帯)0-20-40-60ADSR鍵を離す0秒1.5秒3.0秒dB

7回鳴らして測りました。鍵を押さえていても自然に減衰します。この音は鳴らすたびに変わります(ピークの振れ幅 10.5 dB)。上の帯がそのばらつきです。

A 立ち上がりD 減衰S 持続の高さR 余韻
110 ms510 msピークの -32 dB65 ms

A=発音からピークまで/D=ピークから持続の高さへ落ちきるまで/S=持続の高さ(ピーク比)/R=鍵を離してからピークの −40 dB まで。ツマミの内部値ではなく鳴った音から測った値なので、フィルタや変調の影響も含んだ、実際に聴こえる時間です。

実際の配線(左→右・信号順)FBAuxフィルタBlueMonarkフィルタFMInsert FX 1FolderInsert FX 2FreqShifterInsert FX 3AnimaNoise 1 0%BreathNoise 2 10%PinkOSC 1 60%012. OP Sin-ImpOSC 2 51%006. Sin-Tri-SQ-SawUnit FX 1StereoDelay出力

■ 音源(バーは音量ツマミ) □ 処理 ┄ 固定経路(Unit FX は Serial) ┄ FB=フィードバック

左→右は Massive X のルーティング画面と同じ向きです。配線は保存されている実データ、並びは信号の流れ順。Aux はどの音源からでもオシレータの位相を揺らせる位相変調バスです。

演奏で動かせるところ
マクロ名前つながっている先現在位置
M1WT Pos 1OSC1の波形の位置20%
M2Osc 1 LvlOSC1の音量60%
M3WT Pos 2OSC2の波形の位置0%
M4Osc 2 LvlOSC2の音量51%
M5Cutoffフィルタのカットオフ21%
M6Resoフィルタのレゾナンス4%
M7Attackアンプ EGのアタック28%
M8Releaseアンプ EGのリリース38%

Massive X の Macro ページのツマミです。「現在位置」はこのプリセットを読み込んだ直後の値。

使っている音源
OSC1012. OP Sin-Imp Operators / Standard
Operators 系の波形:位相変調(PM)用に作られた波形。重ねて厚みを足すのにも使える。
形上の倍音が少ない、山が平らでなだらか
位置を動かすとよく変わる(端から端で明るさが 9.0 kHz 動く・157波形中 上位 4%)
音の印象Deep(上位 13%)
付属音での使われ方ファクトリーでこの波形を使う 13 音には Piano / Keys(7.5倍・5/13 音) が多い(倍率は全体の出現率との比)。
読み方 Standard・位置 50% で単体で鳴らして比べた値
音量 60%
抜くと音色が最も変わる
OSC2006. Sin-Tri-SQ-Saw Basics / Jitter
Basics 系の波形:際立った個性を持たず、減算合成の土台になる波形。
形奇数倍音だけで出来ている、山が平らでなだらか
位置を動かすと少し変わる(端から端で明るさが 3.3 kHz 動く・157波形中 真ん中あたり)
音の印象Deep(上位 8%)
付属音での使われ方ファクトリーでこの波形を使う 46 音には Riser(3.9倍・3/46 音)、Stabs & Hits(2.0倍・3/46 音) が多い(倍率は全体の出現率との比)。
読み方 Standard・位置 50% で単体で鳴らして比べた値
音量 51%
抜くとかなり変わる
Noise1Breath(Static) Static / Fix音量 0% (鳴っていません)
Noise2Pink(Static) Static / Fix
ピンクノイズ。低域寄りで自然に聴こえる。
音量 10%
抜くとかなり変わる

レベル 0 のものも、何を積んだかの記録として残しています。
波形の性格は 157 個を同じ条件で比べた順位です(一覧を見る)。このプリセットでの読み方は上の表のとおりなので、実際の音はそこから変わります。「抜くと」は、その音源だけ止めて測った音色の変わり方です。

音を形づくっているもの
Folder

強く入力を持ち上げると波形を折り返す。飽和とハードシンクの中間で、4つのモードで滑らかさが変わる。

大きく増幅して、天井を超えた分を折り返す。倍音が一気に増える
Drive 12%折り返しの深さ。上げると明るさは下がる(実測 7,233 Hz → 7,170 Hz)。折り返しが増えて上が潰れるため
Mix 28%混ぜ具合。ただし0% にしても素の音には戻らない(実測 7,112 Hz → 7,127 Hz とほとんど動かない)
Offset 58%波形を上下にずらす量。上げるほど明るさが下がる(実測 7,448 Hz → 7,354 Hz)
Type Sin
外して測りましたが、違いはばらつきの範囲でした(この音ではほぼ効いていません)。440 Hz のサイン波に挿すと、明るさが 442 Hz から 7,278 Hz まで上がります。いちばん上を足します

FreqShifter

周波数をずらす。ピッチシフトと違って倍音の比が崩れるので、金属的な響きになる。

全部の成分を同じ Hz だけずらす。倍音の比が崩れて金属的になる
Fdbck 24%出力を入力へ戻す量
Mix 86%原音とエフェクト音の混ぜ具合
Range Wide
Shift 54%周波数をずらす量。倍音の比が崩れる
外して測りましたが、違いはばらつきの範囲でした(この音ではほぼ効いていません)。

Anima

ディレイライン+オーディオレート変調+フィードバックで、元の音に無かった側帯波を足す。コムフィルタ/フランジャーの派生で、MIDI のピッチに追従する。

元の音に無かった側帯波を足す。コムフィルタ/フランジャーの派生
Anima 42%
DW 83%原音とエフェクト音の混ぜ具合(Dry/Wet)
FB 68%出力を入力へ戻す量
LFOmode Slow
Rate 37%変調の速さ
Route Pos
Smear 44%
Tuning 34%
低い方を 10 dB削り、全体を 4 dB下げています。

StereoDelayUnit FX X

左右のディレイタイムを別々に設定できるステレオディレイ。外して測りましたが、違いはばらつきの範囲でした(この音ではほぼ効いていません)。

Character Neutral
Color 49%明るさの色づけ
DW 50%原音とエフェクト音の混ぜ具合(Dry/Wet)
FB 50%出力を入力へ戻す量
Flutter 50%
Input 20%
Latch Off
Mono L/R
Route Parallel
SyncFree Free

StandardEQUnit FX Y

周波数バランスを整えるイコライザ。低い方を 8 dB削っています。

BassLev 37%
HiF 50%
HiLev 62%
PeakF 48%
PeakLev 58%
PeakQ 56%

Eco ReverbUnit FX Z

部屋の種類を模した17のモードを持つ残響(マニュアル上の名前は Reverb)。外して測りましたが、違いはばらつきの範囲でした(この音ではほぼ効いていません)。

Chorus 50%
Color 48%明るさの色づけ
DW 11%原音とエフェクト音の混ぜ具合(Dry/Wet)
Feed 7%残響のフィードバック量。長さに効く
Size 33%残響の空間の大きさ
preDel 6%残響が始まるまでの遅れ

動かしているもの

Mod2 Mod Env、Mod4 LFO、Mod5 Mod Env、Mod1AmpEnv Amp Env、Voice Randomize、Mod6 LFO Random、Mod3 Mod Env が時間や演奏に応じて音を動かします。

部品の性格
BlueMonark|LP1 フィルタNI Monark のフィルタをポリ対応にした多モード型。Gain で飽和させられるのが特徴で、音が暖かく太くなる。この音では、320 Hz から上を落としていて、2.6 kHz では 31 dB 下がります。鍵盤の高さには追従しないので、高い音ほど暗くなります。実際に測定してみると、入力を切ってレゾナンスを上げるとこのフィルタは自分で鳴り出します(Asimov、SV2、Comb は鳴りません)。LP1 から他の型へ替えると、高域が -8〜+27 dB 動きます。操作
カットオフ 21%フィルタが効き始める周波数。下げるほど上の倍音が削られて暗くなる
レゾナンス 4%カットオフ付近を持ち上げる量。上げるほどその高さが際立ち、癖が出る
キートラック 0%カットオフを鍵盤の高さに追従させる量。0 だと高い音ほど暗くなる
ドライブ 1%入力レベルを上げて飽和させる量(マニュアルの Gain)。歪みの深さ
FM 量 50%フィルタのカットオフを音声レートで揺らす量。FM バス(FilterMod)未接続なら効かない
Mod Env 変調音量以外を動かすためのエンベロープ。好きな場所へ割り当てる。この音では フィルタのカットオフを深さ 69%、ノイズ1の音量を深さ 60% で動かしています。設定:立ち上がり 0%/減衰 49%/持続 0%/余韻 10%/モード Gate/きっかけ Note On
LFO 変調用途別に複数の型を切り替えられる LFO。Osc モードでは音声レートまで速くでき、揺らすというより音色そのものを変える。この音では フィルタのドライブを深さ 71%、OSC1の波形の位置を深さ 67%、OSC2の音量を深さ 36%(ほか2か所) で動かしています。設定:速さの決め方 Free/極性 Bi/繰り返し Loop RST/きっかけ Midi
Amp Env 変調音量の時間変化を決める基本のエンベロープ。この音では OSC1のAlg2を深さ 41% で動かしています。設定:立ち上がり 28%/減衰 38%/持続 25%/余韻 38%/モード Gate
Voice Randomize 変調発音ごとにわずかな差を与える。同じ音を重ねても機械的に揃わなくなる。この音では OSC2のAlg2を深さ 62% で動かしています。
LFO Random 変調ランダムな値を作る LFO。周期的でない揺れを与える。この音では OSC2の音量を深さ 70%、Mod5のアタックを深さ 32% で動かしています。設定:速さの決め方 Free/極性 Bi/繰り返し Loop/きっかけ Midi
Standard 波形の読み方既定の読み方。Filter つまみで上の倍音を減らす(帯域制限した波形を走査するので、ローパスに似た効き方をするが仕組みは別)。
Jitter 波形の読み方1周期ごとに読み出しの速さをランダムにずらす。倍音の少ない単純な波形にきらめきを足す用途に向く。強くするほど荒くなる。

Massive X 公式マニュアルの記述にもとづきます。

この音の組み立て方
  1. 音源を選ぶ
    012. OP Sin-Imp(Standard)、006. Sin-Tri-SQ-Saw(Jitter)、Pink(Static)(Fix) を重ねます。
  2. フィルタで骨格を作る
    BlueMonark|LP1 で 320 Hz から上を落とします。
  3. 時間の形を決める
    立ち上がり 110 ms、減衰 510 ms、持続はピークの -32 dB、余韻 65 ms。
  4. 動きを足す
    Mod2 Mod Env → フィルタのカットオフ(深さ 69%)、Mod4 LFO → フィルタのドライブ(深さ 71%)、Mod5 Mod Env → OSC2の波形の位置(深さ 100%)(ほか4系統)。
  5. FX で仕上げる
    効いているのは Anima、StandardEQ。Folder、FreqShifter、StereoDelay、Eco Reverb は外しても差が出ませんでした。
  6. 演奏できるようにする
    マクロ 8本 を配線します(WT Pos 1、Osc 1 Lvl、WT Pos 2、Osc 2 Lvl …)。
付属ライブラリの中での位置

ピアノ・鍵盤 か マレット(鍵盤打楽器) がマッチしそうです。すぐ減衰し低音が薄いところが似ています。付属 625 音を同じ条件で測って比べています(同じ測り方で付属音を判定し直すと、上位2つまで見て 78%)

弾き方を変えると、こう変わります。

ハウス風
トラップ風
アンビエント風
ポップ風
選択したプリセットのみで演奏しています。使ってみて合いそうなジャンルがあれば感想を聞かせてください
BOOTH で入手するX で感想を送る

音の測定

同じ条件で録音した付属プリセット782音の中での順位(音と言葉の近さを測るモデル CLAP による)。言葉は、聴き分けられるかを先に確かめたものだけを使っています。

言葉付属プリセットと比べると
クリーンさ Clean上位 8.1%
空間の広がり atmospheres上位 10.0%
パッドらしさ pads上位 14.3%

Massive X は Native Instruments 社の製品です。